太陽油脂の取材レポート(2013/8/19)
[ 取材レポート ]
本日8月19日に、パーム油など天然の成分を使って石けんやシャンプー、台所洗剤を作っている太陽油脂株式会社の長谷川治様(以下H)へ改めて取材を申し込みました。
水俣病、イタイイタイ病と違って、今後は我々消費者も加害者になりかねないなか、どのようなスタンスで天然の石けんなどを作っているのかなどを聞いてきました。
ーー昔環境問題は公害というように企業が加害者で民間が被害者でした。しかし今、消費者といった民間も被害者ばかりでなく加害者になりかねない。そういう状況で何に気を付ければいいのか?
H:合成洗剤などには多くの有害物質が含まれています。儲け主体の大手企業の言ってることに騙されないような判断力を身に付けること。
ーーしかしその判断力を身に付けるには以外とハードルが高いように思えます。特に高齢者には洗剤の裏面のラベルなんか目に見えません。
H:確かにそういうところもある。特に大手企業というのは政治家との結びつきがある(いわゆる族議員)。だから有害物質を使っているなんて言うことも公にしていないし、しないだろう。なかなか我々のような小さい企業が大手に混じってやっていくことは厳しい。
ーーならばせっかく良い物を作っていても広がらないのでは?
H:特に広告が厳しいのが現状。例えば新聞に広告を出すにあたって(大手など有害物質を使っている)他社商品の批判はできない。
また今横浜FCとも組んでいて選手に使ってもらっている。しかし三浦知良の名前を出して宣伝することは難しい。イチローの奥さんも使っているが、だからと言ってイチローも使ってますとは言えないのが広告界の事情でもある。また販売店の確保ももっとやっていかないとだめ。
ただ工場見学をはじめ、太陽油脂の存在を知ってもらうことは非常に重要である。今現在年間1,500人の見学者が来ているのは意味のあること。
ーーでも太陽油脂の製品を使いたくても値段が大手より割高でなかなか手を出すことができないのでは?
H:原料価格などの問題でどうしても割高になる。しかしこういう考え方ができるのでは?大手の製品を使い、今カネボウが話題になっているが、それらを使うことで体調不良を訴えて予期せぬ医療費がかさんでいくことになる。
アトピーなどアレルギーの子供なんかは、それにかかってしまったために、医療費ばかりでなく食事も普通の人は違うものを与えないといけなくなる。だったら商品の価格としては割高かも知れないが、最初から天然の成分で作られている製品を使ったほうがいいのでは?
ーー私は御社製品を使っているジープ島に年に何度も行くが、あそこではお客さんは皆汚れたTシャツはヤシの木に伝わっているロープにかけておけば夜のうちに激しいスコールが来て、それで汚れが落とせるという考え方が定着している。日中は直射日光が強いので、それで乾くばかりか滅菌消毒されます。
H:本来汗程度の汚れであれば水洗いだけで充分。決して洗剤を使う必要なんてない。食べ終わった食器を洗うのもお湯だけで充分です。ただ消費者は洗った後、その洗剤から出る匂いとかに騙されているだけです。「良い匂いがするから大手の製品を使おう」と。
ファブリーズなんていうのはもってのほか。大体閉め切られている部屋とかであのような水分を付着させたら、それが元で良くない菌が発生する。
ーー太陽油脂は創業66年と言うが、創業当時から将来の環境のことを考えていたのでしょうか?
H:それはないし、その当時将来がこんなになるとは思っていなかった。当時石けんと言えば天然のもので作られていた。それは花王だってそうしてた。昔は花王は「花王石鹸」という社名だったが、今では石鹸という文字を外している。それは天然の成分で作っていないからだ。
しかし戦後、米国から安価な合成洗剤とかが入ってきたことによってガラッと世の中が変わってしまった。また日本の経済成長も早すぎてどうしても消費者のなかでも安いもの、手軽なものを追い求めるようになってしまったのではないだろうか。
ーー今後TPP問題によってますます日本は米国に侵食されそうですね。
H:確かにそうですね。
ーー本日はありがとうございました。